【カエルだからこその驚き】

オタマジャクシからカエルへと姿が変わる過程を実際に見たがあるだろうか? 真っ黒の♪みたいな形で、ただチョコチョコと水の中を動き回るだけのイキモノが、人間顔負けの仕草をするカエルに変化するなんて、『姿を変えるにしても程があるだろう』と言いたくなるくらいのレベルだと思う。

同じように蝶なんかも芋虫からサナギになって蝶になるという、見事なまでの変化を遂げるのだが、蝶ははじめから「ボクらとは全く異質の存在」という認識を持っていたので、それは単なる『科学的事象』として受け入れることができた。

しかしカエルは違う。ボクはアマガエルやトノサマガエルを飼っていたので、先に書いたような、時に『悟りきった』、またある時は『退屈している』、そして『こりゃまた失礼的な』仕草さえする彼らを『なんとなく意思の疎通が可能な相手』として捉えていたのだ。

そのカエルが「あんなすごい変態で誕生する」という事実に、当時のボクは驚愕したというわけだ。

【ボクに衝撃を与えたものの正体】

オタマジャクシからカエルへの変態によって得た衝撃を、ある程度自己分析できたのは、それから何年も経った中学時代に、再ロードショーされた『2001年宇宙の旅』を観てからだった。

ご存知の通り、この映画では『猿人がモノリスに触れることによって、より知的なニンゲンへと覚醒するシーン』から始まる。

ボクらは猿人だったときから、「何かのキッカケで劇的に自分が進化した」という経験を何度か経験してきているのだろう。そして、カエルへの大胆な変態を見ることによって、その時の衝撃的な記憶が蘇るのではないだろうか?

なんの知性的な反応もしないオタマジャクシが劇的に姿を変え「あるときは悟りきった表情をし、あるときはシマッタという表情をする知的な存在に生まれ変わる」という事象が、自分たちが「猿人から知的な存在に変化した記憶」を励起させるのだ!

その『何かのキッカケ』が『神のご加護』なのか『モノリス』なのか、あるいは『宇宙人による脳改造』なのかは知らないが、『カエルの変態』から、そういう『何か』を思い出させ、それが当時のボクに衝撃を与えたのだ。そんな気がしてならない!

カエルの法則: 自分を変化させた存在を思い起こさせるモノに、人は愛着を感じるものなのだ。