【ちくわぶの法則】

最近『おでん屋さん』って存在しているのだろうか? ここで言う『おでん屋さん』とは屋台を引いておでんを売りにくる人を指しているのだが、ボクが中学生になるぐらいまでは昼ごろと夕方ごろに、鐘を鳴らしながらやってきて熱いおでんを販売していたものだ。

最近ではコンビニでおでんを売る時代だし、そもそも町の路地で遊んでいる子供自体ほぼいないので、屋台でおでんを売り歩くことに対するニーズがないのかもしれない。ちょっと残念だ。

で、数あるおでんの具の中でボクが何よりも好きなのが『ちくわぶ』だった。単に小麦粉を練って串に巻きつけて成形し茹でただけのものなのだが、その形状、歯ざわり、食感、そしておでんの汁を吸った味わい等、ボクは「ちくわぶこそ最高」だと今でも思っている。

この『ちくわぶ』、関西の人にはまったく馴染みが無いようだ。関東でも地域によっては知らない人も多く、どうやら東京発祥の食べ物らしい。そんなことを知ったのは、ボクがだいぶオジサンになったときなのだが、東京生まれ東京育ちのボクとしては、そんな情報が、ボクの『ちくわぶ好き』にますますドライブを掛けたようだ。

そして、ちくわぶは、煮つづけられた時間によって『モチモチ』から『グニョグニョ』へとその食感が変化していく。そんな様々なバリエーションが楽しめるのも『ちくわぶ』の魅力だと思っている。

ボクは幼少の頃から中間の『モチグニョ』のタイミングが好きだった。これに黄色い練カラシをちょこんと塗って食べるのだ。ツーンとした辛さを楽しめるのが大人なんだと考えていた当時のボクは「カラシ多め」なんて注文をして「ボクハオトナダ」というアピールをしていたっけ。

ちくわぶを知らない方に説明すると、形状的には外側にギザギザの刻みが入っていて、このギザギザが見た目のゴージャス感を醸し出していると同時に、汁と絡み易くするという機能も担っている。さらに重要なことは、噛み砕いているときに、このギザギザは口の内壁へエロティックな刺激を与えてくれるということだ。そして、その刺激を一番楽しめるのが、先に書いた『モチグニョ』な状態のときなのだ。

真ん中には成形したときの穴が開いているのだが、この穴がまた良いんだなぁ。モチグニョな状態のちくわぶの穴に、自分のベロを押し込み、ベロの圧力で『ちくわぶ』を内側から破壊したときに感じる『罪の意識』、これがなんとも言えずエロティックなのだよ♪

そう、『ちくわぶ』はエロティックなのだ! ボクの『性の目覚め』は『ちくわぶ』と共にやってきたことを、今ここにカミングアウトしよう。

今風に言えば「炭水化物ばっかりで他の栄養分が少ない」的なマイナス評価もされそうだが、そんな考えの方にも、あらためて『ちくわぶ』のエロティックを感じてもらいたい。特に東京生まれの人や東京在住の人には「ちくわぶこそ東京のエロスの原点なのだ」ということを理解してもらいたいのだけど、どうですか?

ちくわぶの法則: 破壊による罪の意識が、エロスを喚起させることもある。