ブッダ生誕の500年も前に“空”の思想を持った王様がいた! 人間の根源なんて3000年前となにも変わっていないのだ!

【ソロモンの法則】

伝道の書と仏教の相違点

『旧約聖書』にソロモンが書いたと呼ばれる『伝道者の書』という経典がある。ボクはユダヤ教徒でおキリスト教徒でもないけど、この『伝道者の書』が大好きで、たまに本棚から引っ張り出しては読んでいる。

『ソロモン』とはユダヤ国家における最初の王である『ダビデ』の息子で、ユダヤ民族の歴史の中で最大の栄華を誇った時代の王だった人だ。そして彼は単なる『支配者』であっただけでなく、当時のあらゆる学問を学んだ『賢者』であり『詩人』でもあった人だ。

ザックリ言うとソロモン」紀元前1000年ぐらいに活躍した人で、釈迦がだいたい紀元前500年ぐらいの時代の人で、釈迦の死後500年ぐらいたってから『仏教』が生まれたらしいので、『伝道の書』は『仏教』よりも1000年ぐらい前の思想が書かれていると言うわけだ。

もともとの『伝道の書』は何語で書かれていたのあろう? ヘブライ語なのかなぁ? ボク当然日本語訳(日本聖書協会版)の『伝道の書』を読んでいるのだけど、 冒頭にいきなり「空の空、空の空、いっさいは空である」と書かれているのだ! 

これってまるで『仏教』じゃないか!

内容的にも『諸行無常感』を謳っており、ちょっと見るとお坊さんの説法のようだ。お坊さんの説法と同様に、「与えられた立場を受け入れ」「どんなものであれ仕事を楽しむ」ことを最善としている。

ただ決定的に違うところがある。

『お坊さんの説法』では『酒や料理などの物質的な幸福の享受』に対しては基本的には戒めるものとして扱われているが、『伝道の書』では「おいしい料理や上質の葡萄酒を大いに楽しむ」「香水をつけ美しい服を着る」などの行いで人生を大いに楽しむことを最大の善としているのだ。

死という避けられない宿命を持つ人間にとって、これらの『快楽』を享受することこそが『神が与えてくれた祝福』である、という考えだ。

人間の苦悩は変わっていない

つまり、今から3000年前の人たちも、人生に憂いを感じていたり、どうすることが幸福なのだろうかと悩んでいて、それに対する『救い』を求めていたということだ。

そしてその『回答』も現在の『人生相談』でもよく言われている「日々の生活を楽しむことが重要」というものだったというのが実に面白い。

人間は『知恵の実』を食べてしまったことで(要は「脳が進化してしまった」ことで)、「どうしたら幸せになれるか」なんていう他の動物は考えないことを考え、勝手に悩み続けてきたようだ。

そして、悩みに悩んだ末、ソロモンが出した『回答』が「飲食を楽しむ」「与えられた仕事を楽しむ」だったということだ。

『飲食を楽しむ』ことはもちろん『仕事を楽しむ』ことだって、普通にサルは行っている。アリ塚からアリを釣り出す(これはサルにとっては『仕事』だ)ことに夢中になっているサルは、とても楽しそうだし。

知恵を得ることで人間は不幸になってしまったが、幸福になるには、知恵がなかった時から感じていた喜びを素直に味わえ、ということなのだろうか。

ブルース・リーの台詞を借りれば「考えるな、感じるんだ」ということか。

ソロモンからブッダに行き、そして最後にはブルース・リーにまでたどり着いてしまったが、このあたりに『人生の達人』になる秘訣が隠されているのは、確かなようだな。

ソロモンの法則: 本能的な快楽を享受することに対する罪悪感を捨てないと、人生の達人にはなれない。