【椎茸の持つ破壊力と、卵の持つ統率力】

肉厚で味わい深くとにかく美味い『土肥の椎茸』。コイツには『七輪で焼いて醤油をたらすだけでご馳走になってしまう』という、飛びぬけたポテンシャルがある。

それを『卵でとじてご飯に乗せる』というのは、言ってみれば、『個性的で一匹狼的な椎茸』と『完成された食材であるご飯』とが、卵の持つ『強烈な統率力』によって結び付けられたと言えるのではないだろうか?

つまり映画『大脱走』において、リチャード・アッテンボロー率いる英国空軍捕虜の脱走チームに、一匹狼の米兵スティーブ・マックイーンが加入したようなものなのだ! もう最高だぜ、ヒューヒュー♪♪

まさに千両役者の『土肥の椎茸』。当然、原木栽培だ。

【紅しょうについて考える】

そしてこのチームに、欠くことができない『名わき役』が『紅しょうが』なのだと思う。

前述の『大脱走』に例えると、銃殺されたアイブス役のアンガス・レニーや、独房に入るマックイーンに『グローブとボール』を渡すゴフ役のジャド・テイラーの役どころだ。

そして、ボクは「紅しょうがの有り無し、その配置と量は、客ではなく、料理人が確固たる信念を持って決めるべきこと」だと考えている。

例えば上の写真の向かって左の丼、鮮やかな黄色と白と茶色の料理が白い丼に盛られているが、紅しょうがは乗っていない。しかし、もし端のほうにチョコンと紅しょうがが乗っていたら、この丼の色彩は一層引き立つのではないだろうか?

「お好みであればご自由にどうぞ」と店主はおっしゃっていたが、この店主は色彩に対する自分の信念をきちんと主張すべきだと思うのだ。

そして右の丼だが、端のほうに紅しょうがが盛られていて、丼の赤と紅しょうがの赤とが無配慮に混じり合ってしまっている。もし紅ショウガが丼の中央にパラパラと散らされていたら、どんなに美しい丼が完成したことだろう。

伊豆の最高に美味い椎茸と、完成された食材である白いご飯、そしてそれを束ねる新鮮な卵。 その中にあって、どのような位置づけを紅しょうがに負わせるべきなのか?  それを考えるのは、他でもない料理人なのだと思うのだ。

この『紅しょうが問題』については、料理人の誇りと才能の全てをかけて、料理人自らの手で答えを出していただきたいと願っている。

土肥の椎茸料理には『椎茸バーガー』や『椎茸蕎麦』などもある。両方とも凄く美味い!美味すぎる!