【棒あなごは『あなご』じゃなかった】

調べてみるとこいつは、『あなご』ではなく『ぬたうなぎ』だとのこと。「あ、鰻なんだ」と思ったら更に間違いで、『ぬたうなぎ』とは『やつめうなぎ』と同じ『無顎類』と呼ばれる非常に原始的な生物で、『脊椎動物』でありながら『骨格』を持たないのだとか。

歯もないらしく、魚介類の死骸に喰らい付いては、ジュルジュルと体内に吸い込むように摂取るすらしく、形状だけでなくその生態もかなりいっちゃっている。

しかしそんなことより重要なのは『棒あなごの丸干』が実に美味くって日本酒に合うってことなのだ♪

【男鹿半島の漁師料理】

ボクが写真の『棒あなごの丸干』をはじめて食べたのは、山形県 鶴岡市のプレハブ雑居ビル内の“山形弁が飛び交う居酒屋”だった。

こんがり焼いた『棒あなご』は、バリっとした固めの皮をかみ締めると、ジュワっとエキスがにじみ出てくる。「海の生物を丸ごと食べている」ことが実感できる濃厚な味で、ぬる燗の相棒としては、ワタシが過去食べた全ての肴の中でもトップクラスだった。しかも安い!上の写真で400円なのだから。

感動しまくっていたボクに、その店のご主人は「本来はもっと北の『秋田県の漁師料理』だよ」と教えてくれた。それ以来、ボクは定期的に秋田某所の居酒屋と、この鶴岡の居酒屋とに行き、『棒あなご』をアテにそれぞれの地酒を呑むツアー『棒あなご巡業』を行うようになったのだ。

こちらが秋田某所の『棒あなご』。形状がよくわかるでしょ♪

男鹿半島のお土産屋に普通に売られていた『棒あなご』。

【棒あなご漁がピンチらしいぞ】

オカルトっぽい形状の『棒あなご』は水深100メートル程度の海底に生息しており、その漁も独自で、魚の切り身を入れた壷状の漁具を水深100メートル程度の海底に設置し捕獲するらしい。

捕獲後の処理も大変で、陸地で鉄棒に頭を突き刺し吊るし、日干ししながら手でシゴきヌメリとともに内臓や血液などを取り除くという、実に手間がかかるのだ。

現在、『棒あなご漁』をされている漁師さんは(ボクのうろ覚えだと)『井上さん』という方のみで、跡継ぎがいないらしいのだ。かなり大変な仕事だとは思うが、跡継ぎが現れてくれないと、ボクの楽しみが減ってしまう。なんとかならないのだろうか?