【すべては『みの吉』から始まった】

檜枝岐村(ひのえまたむら)は昭和の初期まで秘境だった場所で、稲作には適さない土地ゆえ、山人料理(やもーどりょうり)と呼ばれる独自の郷土料理を生み出してきた。

山人料理には蕎麦や山菜、熊や鹿・兎などの獣肉、岩魚などの川魚などがあるのだが、なんと言っても特筆すべきはサンショウウオ料理だろう。

この地方でサンショウウオ料理が誕生したのは明治の終わりから大正の初めの頃だそうで、当時のかなり具体的な話が残されているのだ。

それらによれば、 檜枝岐村にサンショウウオ料理を伝えたのは栃木県川俣出身の“みの吉”さんだとのこと。そして、みの吉さんから星富吉、富次郎、数三郎の三兄弟に、その料理法が伝えられたというのだ。

そして現在にいたり、富吉の息子さんの星寛(ほしゆたか)さんは山椒魚採りの達人として、そのスジではかなり有名な人となっている。(会津若松駅近くのコンビニで売られていた“地元を紹介するムック本”に富吉さんの記事が写真入で掲載されていた♪)

こうした伝説はシッカリと次世代に伝えて欲しいものだ。「檜枝岐村のサンショウウオ料理のツールは?」と聞かれたら、「みの吉から星三兄弟、そして星寛へ伝えられた」と 即答できるようにしておいてくださいませ。


【サンショウウオの効能が凄そうだ♪】

サンショウウオは、漢方理論的にも滋養強壮や子供の疳の虫を抑える効果があるとされていて、その昔は不老不死の妙薬の材料と考えられていた時代もあったらしく、燻製してから炙る、天婦羅、唐揚げ、塩焼きなど、などの食べ方も豊富だし、中には「サンショウウオの夫婦をペアで食べると精力がつく」などのアレっぽい言い伝えもあるようだ。

尚、檜枝岐村で食べられているサンショウウオはハコネサンショウウオという種類で、天然記念物に指定され捕獲や飼育が禁止されている種類のものとは別種なので、念のため。

しかも、檜枝岐村でのサンショウウオ漁は“1度サンショウウオを獲った沢は2年休ませる”という、自然の循環ペースに合わせた、実にエコロジカルな漁法を用いており、これも星寛さんがしっかりと後人に指導されているのだ。

最後にもう一つ。この村の住民の苗字はほぼ『星』『平野』『橘』の三種類なのだ。これは「檜枝岐村は平家の落ち武者が切り開いた」という伝説と関係がありそうで興味深い。

多分、この地に落ち延びた落ち武者部隊に、星、平野、橘という三人の小隊長がいて、どの小隊長に属しているかで苗字が決まったんじゃないかと、ボクは思っているわけです。

『山人料理』の代表格『はっとう』。そば粉と餅米粉をこねて茹でてある。

蜂の巣ごと食べる蜂蜜。以外にも酒にも結構合いました♪

山間の民宿には定番の『熊の毛皮』。宿屋のご主人が仕留めたものらしい。

宿屋の食堂に平然と飾られた『熊の手足』、毛皮よりもリアルに怖い。