【旅人が歌人が、そして妖怪が食べた『とろろ汁』】

静岡県の丸子にある『丁子屋』というお店で『とろろ汁』を食べてきた。

この店がある丸子(当時は『鞠子』)という土地は古くから宿場町のひとつで、難所である『宇津ノ谷』の手前ということもあり、ここで“とろろ汁を食べて精がつけてから峠を目指す”という感じだったようだ。

松尾芭蕉も「梅わかな 丸子の宿の とろろ汁」と詠んでいたり、 十返舎一九の『東海道中膝栗毛』でも“、宿屋の夫婦が喧嘩をして、とろろ汁の入った鉢をこぼしてしまい、ヤジさんキタさんがとろろ汁にありつけなかった”というシーンがでてくるのだ。

ちなみに安藤広重の『東海道五十三次』の『鞠子』の版画では『丁子屋』が描かれ、 “とろろ汁にありつけなかったヤジさんキタさん”に対する愛情なのか、“とろろ汁を食べているヤジさんキタさん風の二人組み”が描かれている。

また、ボクの持っている水木しげる先生の 『妖怪道五十三次』 では、鬼太郎とネズミ男と思われる二人組みが、『ろくろ首』の売り子が働く店(おそらく『丁子屋』か?)で『とろろ汁』を食べている絵が描かれている。

どうやらこの店は江戸時代の頃から、老若男女、魑魅魍魎の隔たりなく愛されていたようだ。もちろん実際の『丁子屋』には『ろくろ首』などいませんでした♪