けさらんぱさらん
☆ご当地グルメ・地酒

秩父名物『ずりあげうどん』

【ネーミングとコンセプトにグッとくる】

 分かりやすく言えば『ずりあげうどん』というのは『はなまるうどん』における『釜揚げうどん』のようなもの、 要は大きな釜でうどんを茹で、それをそのまま”ゆで汁ごと”どんぶりに盛ったものだ。

 最初「ずりあげ」という単語を見たときにはなんのことか解らなかった。「ずりあげ」とは「ズルい(狡い)」と「あげる(プレゼントする)」をミックスした言葉で、「その昔この地には“ズルい狐"がいて、頻繁に人の好い農民をだましては、うどんをタダ食いしていた」という民話から生まれたご当地グルメなのかと思っていた。 ま、ちょっと考えればそうではないということに気づくというものだ。当然「うどんを釜からズリ上げる」から取ったのだろう。

 『釜揚げうどん』が醤油だしのつけ汁につけて食べるのに対し、こちらは「つけ汁の中に、自由にいろんなものを入れて食べる」という『アドベンチャー要素』を取り入れることで差別化を図っている。これは、消費者の“小さな自己主張”を満たしてあげるという、昨今のマーケティングにマッチしているようで、西武秩父線の芦ヶ久保駅に隣接した道の駅の食堂では結構な人気商品なのだ。

【主婦感覚的ルールにちょい萎える】

 店に入ると下の写真のように、各テーブルに「ずりあげうどんの食べ方」が書かれたカードが置かれていた。「みんなと同じ食べ方をしないと疎外感を覚えてしまうタイプの人」にとってはありがたいのだろう。しかし、「決してうどん入り丼に薬味や醤油を入れてはいけません!」という項目(しかも「!」付き)は、折角のアドベンチャー要素が台無しだぞぉ。

 おそらく「うどんを盛った丼に薬味や醤油を入れられると、食器洗いが大変になる」という『主婦感覚』から来たものなのだろう。しかし、この手の主婦感覚ってかなり萎えるよなぁ。ま、気持ちはわかるけど、文言の表現方法についてはもうちょっと考えてくれよん。

 簡単に言うと、主婦感覚とアドベンチャーとは相いれないということかな。

まさに「釜からうどんをズリ上げている」という感じの写真。このネーミングにはかなりグッとくるぞ!

「決して・・・いけません!」からは、従業員の小母さんたちの「セコイ主婦感覚」しか連想できず、ちょい萎える。

マニュアル世代には嬉しいけど、スナフキン世代にはちょっとウザい「食べ方」のルール。

上級者にはいっそのこと「お前の望む通りに勝手に食うが良い」と言い放つぐらいのことが書かれていても良かったな。

【並んでいる調味料ってなんでこんなに素敵なんだろう】

 うどんを受け取るカウンター脇と各テーブルには写真のように薬味や調味料が並んでいて、とてもワクワクさせてくれる。 「スライスしたミョウガと一味唐辛子ぐらいで良いよ」なんて言う『保守派文系さん』もいるかと思うけど、想像力を膨らませいろいろチャレンジしてみたいのが『理系おやじ』の心意気ってもの。

 できればタバスコやチポトレソース、ディジョンマスタード、トマトピューレなんかも欲しかった。いっそのこと「調味料持参大歓迎」としたらどうだろう。

 スパイの七つ道具みたいに、古今東西、甘酸塩苦の調味料をアタッシュケースにキチンと整理して入れて持ち込む、毎週土曜日の午後に現れる全身黒づくめの男。そんな人に本気でなりたい。

【やはり最後はカレーに到達する】

 カウンターには写真のような『カレースープ』も置いてあったが、これがまた美味いのだ! うどんをカレースープ単独につけて食べても良いけど、 いろいろな薬味や調味料でごった返したつけ汁にカレースープを入れることで、絶妙な調和が生まれ、ずりあげうどんのフィナーレを飾る最高の味になるのだ。

 このカレースープは小さめの寸胴ひとつ分しかしなく「無くなり次第終了」なので、別椀に最初からあらかじめ取っておくことをおすすめする。

 しかし、カレーというのは素晴らしいマネジメント能力の持主だと思うよ。ごま油やミョウガやネギや唐辛子やなんやらかんやらといった個性的なメンバーが、彼の参加によってピシッとひとつのチームになってしまうのだから。最後はカレー様に恐れ入り、残ったつゆをのみ干してから店を出ましたとさ。

【冬に来たならこちらも是非】