【東京遊行記に記載された二本の松】

文豪大町桂月の紀行文『東京遊行記』に 「東京付近の松の奇観はこれに尽きる」と、 善養寺の二本の松の木について書かれてある。

それは、高くそびえる『星降りの松』と横に広がる『影向の松』なだが、 影向の松の方は今も当時と同じ松が、 30メートル四方にその枝を伸ばし残っているのだ。

今回は、東京都 東小岩にある『星住山 善養寺』に二本の松を観にいってきた。

【樹齢600年を超える、超平面展開された松】

影向(ようごう)とは「神仏が一時姿を表わす」という意味で、 『影向の松』とは神が憑依した松とのことらしい。 そういう「異型の自然物に神が宿る」 という話にはグッとくるものがある♪

ちなみに、能の舞台などの背景にある松の絵は、 影向の松を表したものらしい。これまた驚き。

ここ善養寺の影向の松は樹齢600余年の超年代モノだ。

枝を縦横に広げたその姿は、近くの小高い場所から見れば力強く勇壮で、 一本の松には到底見えない。

そして、この松の下に入れば、 ゴツゴツした木肌が持つ不気味な雰囲気に圧倒されてしまう。

【影向の松の伝説】

また、雄大なものは見方を変えれば奇怪にも写るので、 この松には不思議な伝説もある。 その爪あとが木の根元にある『影向の石』らしい。

かつて、この寺に忍び込んで不動尊像を盗もうとしたふとどき者が いたのだが、不動尊を抱え逃げようとしたときに、 この石に足が張りついて動けなくなってしまったため、 その盗人は捕まり、本尊を無事に取り返すことができたのだとか。

影向の石の上にはなんとなく人の足型のような窪みがのこされているのだ。

【垂直方向に展開するオサレな名前の松】

下の写真がもう一つの松『星降りの松』だ。

現存する二代目の『星振りの松』だそうだが、 昭和15年に枯れてしまったオリジナルには逸話が残っている。

昔のこの住職をしていた賢融和尚が若い頃、 ある修行を達成した夜明けに、星降りの松に『コバルト色に輝く星』 が落ちていたのを発見し、これに『星精舎利』(せいせいしゃり) と名を付けたのだとか。

それ以来、この善養寺の山号は『星住山』となったのだが、 驚くべきはこの『星精舎利』はいまだに寺宝として残っているということだ♪