【猫によって栄えた寺】

豪徳寺はもともとは世田谷城の5代目城主、吉良政忠が伯母にあたる弘徳院のために、文明12年(1480年)に城内に創建された小庵だったのだが、小田原の役での世田谷城開場とともに荒れ果てさびれてしまっていた。

そしてそのさびれはてた弘徳庵の住職は、飼っていた愛猫タマに向かって、こんなにかわいがってやっているんだから何か恩返しでもしてくれよ、と、およそ聖職者とは思えない愚痴を繰り返してつぶやいていたのだとか。

そんなある夏、近江彦根城主、井伊直孝が鷹狩で近くを通りがかったとき、この猫のタマちゃんが井伊直孝ご一行の前に立ちはだかり、“おいでおいで”の招き猫ポーズで弘徳庵の方に導いたらしい。

最初は気味悪がった井伊直孝も、何を思ったのかネコに導かれるままに弘徳庵にやってきたとたん、あたりはものすごい雷雨にみまわれたのだ!

井伊直孝は雷雨から逃れられた嬉しさと、その雨宿りの最中に住職から聞いた法話に感動したことがきっかけで、その後、その庵を豪徳寺と名前を改め、井伊家の菩提寺としたのだとか。

それ以来、豪徳寺は栄えて、いまでも世田谷の住宅街にどかーんと敷地を構えている。 当然、今も境内には猫観音を祀る招猫殿が建っており、まさに福を招いた猫なのだ。

猫の聖地なので当然、犬は立ち入り禁止ということなのだ。

「豪徳寺 猫が手招く 福と運」と書かれた看板と、それを覗き込む猫

豪徳寺の駅近くで見かけた看板の猫は何故か左利き。「豪徳寺の招き猫は右手を上げている」という基本が徹底されていないのが、逆に今風。