大将軍(タイショウグン)とは、実に強そうな名前なので、最初「戦いの神様」なのかな、と思いましたがどうやらそうではなく、上に書いたような「方忌」に関係する神様らしいです。
方忌とは、特定の方角に向かうことを忌み嫌い、一旦、別の方向に行ってから向きを変えて元の目的地に向かうといった、方角に関する信仰のことで、元々は中国の陰陽道の考え方なのだとか。
しかし現在の主祭神は素戔嗚尊とその御子神八柱のようです。これは日本文化における「習合」の結果なのでしょうけど、このあたりが日本の神社の系図を複雑なものにしていますよね。
京都一条通りは、まさに平安京における「碁盤の目」の最北端の道であり、魑魅魍魎が跋扈していた当時においては、魔界と人間界とを隔てる結界のような位置づけだったのでしょうから、この大将軍八神社によって、この方角からの妖の侵入から平安京が守護されているというイメージなのでしょうか。
大将軍八神社の方徳殿には、平安時代中期から末期に作られた「木造大将軍神像」が80体も祀られていていますが、残念ながらボクはまだ見たことがありません。
この神像の公開は毎年5月1日から5月5日と11月1日から11月5日とのことです。(予約をすれば他の期間でも見れるらしいです)
神像というのは馴染みが無いのですが、ここの木造代将軍神像は、仏教における「天部」(天界に住む言ってみれば神様:帝釈天や四天王など)のデザインとの共通項が多いらしいです。公式サイトにいくつか写真があります ので、興味のある方は是非。
「大将軍八神社」が接しているあたりの一条通りは「妖怪ストリート」と呼ばれ、ボクと同じ趣味を持つ同業者(w)にとっては、かなり有名な場所になっています。
手作り感満載の魑魅魍魎立ちがいたるところに存在し、定期的に妖怪イベントも行われている、実に楽しい街なのです♪ 一条妖怪ストリートのサイト
妖怪以外にも、下記に書いたように「もしかしたら宮本武蔵と吉岡一門の決闘はこの辺りで行われたのではないか」というような説も残っています。
野山には魑魅魍魎が住んでいると信じられていた時代には、この道はまさに魔界との境界線だったんだなぁと、感じずにはいられません。
京都一条 妖怪ストリート: なんてことはない小さな商店街のいたるところに ゆる〜い妖怪が点在しています♪
一条下り松: 一般には“宮本武蔵が吉岡一門と決闘をした場所”は、 京都の北東に位置する『一乗寺下り松』と言われているが、 実際の決闘の場は『妖怪ストリート』を東に抜けた『一条下り松』この場所だ、 という説もあるらしい。(タクシーの運転手さんに力説されました♪)
ほんとうにここで決闘したの?:平安時代には閑散とした場所だったかもしれないですが、武蔵の時代はまたちょっと違っていると思いますし、内裏の西壁はここから1km程度東にあったはずのこの場所で本当に『武蔵vs吉岡一門』の大規模な殺し合いが行われたのかなぁ? タクシーの運転手さんはそのあたりまでは教えてくれませんでした♪
日本の妖怪のデザインは、西洋の妖精や悪魔や霊獣とはまったく異なる風味が漂い、まさにこれこそ「日本文化」だと思うのですよ。どんなに西洋化が進もうと「やっぱり米のご飯が最高だな」と思うのと同じで、ボクらのDNAに染みついた「saga」だと思うのです。
彼らと出会うと、妙にホッとしてきませんか?
“かえるっぽい妖怪”。 このゆるさが逆に百鬼夜行っぽい 。
なにげなく道行く小学生に声をかけたら一つ目小僧だった。
『さいとう商店』に潜む『さいとう』という妖怪らしい。
ベニヤ一枚で作られているところが、なんかステキだ。
左の妖怪の頭には両脇に食パンがくっついている。ま、そういう妖怪なんだろう。
毛むくじゃら一つ目のデザインは、なんか京都っぽいかな。
薬屋さんの中にいる包帯まみれ緑男。ドラゴンぽいものは、ちょいカッコいい。
高貴な感じを出そうとしながらも、 安っぽさを隠し切れない感じが逆に良い。
こいつが、工業製品としては一番丈夫そう。
これは京都の定番っぽいですな。
ベニア系はそれはそれで味がある。
『ごんたくん』っぽいな。
右のヤツのデザインいいなぁ。ボクも真似しようっと。
提灯は自宅に飾りたい。白いヤツの意味不明間に惹かれる。
これ凄くデザインも出来が良いです 。
この辺りの完成度は凄いな。
豆腐小僧のとびだし坊や、『夜行童子』という名前らしい。
通りの外れに構える“妖怪の親分”『ぬらりひょん』。
妖怪ストリートを探索中、 なんか背後からの不気味な視線を感じていたのですが、何気なく顔を上げたら、 こんなヤツらが不気味な微笑を投げかけているではないですか!
小さな雑居ビルの入り口にこんな看板とノボリとが雑多に置かれていた。一体これは何なんだ?
何度も言いますが、この妖怪ストリートの魅力は「手作り感が満載」ということなのですよ。そして、その極地がここ「百鬼夜行資料館」なのです。
こんな入り口、 おそらくボクと同類の人しか来ないんだろうなぁ。
階段を登るといきなりコイツが! 『ズッコケ』という擬態語がピッタリ。 。
入り口のすぐ右にこの空間が広がっているのです。妖怪らしきものは存在しているのですが、別に動いたりするわけでもないというところが、逆に良い味を出しています♪
ここが資料館の入り口。ただの事務所の一室なのが逆に良いww
入り口向かって左の壁はこんな感じ。 ここに貼ってあるイラストなどが『資料館』のゆえん。
これが『百鬼夜行資料館』の全貌。 椅子があるのだが、 腰掛けて何をしろというのだろうww
『百鬼夜行資料館』で手にいれたパンフレット。 やっぱり古典の妖怪イラストは実に良いなぁ。 これによると 毎年10月第3土曜日には『妖怪仮装行列・一条百鬼夜行』 が開催されるらしい!
さすが歴史のある街、京都です。これ以外にも京都には魑魅魍魎の伝説が数多く残っています。下の地図に、ボクが興味を持ったものを記載しておきますね。
京都で妖怪探索する際には、やはり夢枕獏先生の「陰陽師」を参考にすると良いですねぇ。「陰陽師」に出てくる地名を現在の街の中に探してみると、一味違った京都が楽しめるはずです。なにより、この手の散策は金も掛かりませんし、長時間歩き続けるので足腰も上手になりますしね♪