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●暖房をかけず「掛け時計」で温まるという技を習得している。

ボクの実家には掛け時計がありました。5時とか6時とか丁度の時刻になると時刻の数だけ「ボーン・ボーン」と鐘のような音がなる時計です。鳩時計なるシャレたものを壁にかけてあった友人の家もありましたねぇ。こちらは時計につけられた小窓が開いて、マジックハンドみたいなものにくっついた作り物の鳩が出てきて時刻の数だけ「ポッポ」と鳴くのです。「ボーン・ボーン」の時計よりブルジョワジー係数が高い雰囲気を醸し出していましたっけ。

恐らく独り暮らしの家や部屋には掛け時計はほとんど無いんじゃないでしょうか。ベッドの近くに置かれた目覚まし時計だけで十分だし、日常の時間を知るのであれば携帯電話やテレビで十分なのですからねぇ。

しかしそれゆえ掛け時計があると、その家の「家庭係数」はグーンとアップするような気がするのです。特に必要ではないけれど、あると家を暖かくしてくれるものとして一番手軽なのが掛け時計じゃないかなと、ボクは思っているわけです。

ボク自身も独り暮らしを始めて結構経ちますが、50歳になるぐらいまで、部屋に掛け時計を置いたことはありませんでした。 別に独り暮らしがイヤになったわけではないのですが、50歳に近づいた辺りから、冬になるとどうしても身体だけでなく心も冷えてくる感じがし始めたんですよね。

特にボクの部屋にはテレビも無いし、当時は暖房も無かったのです。小高い場所に立つマンションの高層階に住んでいて、大きなガラス窓越しに見える夜景が、やたら綺麗なのですが、それが一層孤独感を煽るって感じなのですよ。しかもガラス窓越しに冷気がどんどん入ってくるし。

数年前に暖房を入れたのですが、ガラス窓があるせいであまり暖かくならないんですよね。それに夜景を見たいからカーテンはほぼ開けっ放しにしていますし。

通常なら、厚手のカーテンを付けるとか、いろいろと対応策はあるのでしょうけど、なにしろボクはヒネクレ者なので、そういう直接的な問題解決策はどうも好きじゃなくて。

熟考したうえで得た結論が「掛け時計を買って壁に掛けてみよう」だったのです。

窓の外には冷え冷えする東京の夜景が見え、その上の壁に派手な数字が書かれた時計が掛かっています。不思議なもので、本当に掛け時計一つで部屋の雰囲気は変わるんですよねぇ。掛け時計によって「単に飯を食ったり仕事をしたりする場所」から「生活をする場所」へと変わった感じです。

2020年ぐらいからの「例の流行り病」のせいでテレワークが中心となり、電気代がかなりかさんできたこともあって暖房は控えているのですが、この掛け時計のせいで、なぜか暖かい気持ちになれるのです。

ボクは身をもって「熱力学における掛け時計理論」を証明したというわけですかねぇ。

冬の夜、部屋で酒を呑みながら、窓越しの夜景を望むとき、これぞ最高の独り暮らしだと実感できる瞬間ですね。

そこでボクが気づいたことは・・・

「精神的なことが肉体に大きく影響を与える。が、あまり無理をしてはいけない。」ということです。これをボクは「掛け時計の法則」と呼んでいます。