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もぐ そもそも『居酒屋BAR』ってなんなんですか?

キリヤマ 前職を辞めようとしていたとき、知人から「居ぬきの居酒屋があるのでやってみないか」と誘われたんですよ。もともと飲み屋のおやじになるのが夢だったりもしたので、割と即答気味で店の権利を買ったんですけど、実際に始めようとしたら、私はちっとも料理ができないってことに気がつきましてねぇ。あ、最近では少しはやるんですよ、でも、最初のころはそれこそ厚焼き卵ひとつ満足にできなかったんです。で、どうしようかなって考えて、とりあえず酒だけ出す店にしようかなと思ったんです。酒ならかなりの種類を揃えられそうだったので。

もぐ 前職の頃からかなりたくさんの珍しいお酒をコレクションされていたんですよね。

キリヤマ ええ、前職では世界中を、それこそ宇宙中を(笑)飛び回っていましたので、そのときに見つけた珍しい酒をコレクションしていたんですよ。そのときに親しくなった酒のメーカーさんや流通屋さんもたくさんいたので、酒ならどこにもまけないくらい豊富に出せる店にできるなと思ったんです。でもそれだと『居酒屋』というわけにはいかないので、BARにしようと思ったのですが、なにしろもともと居酒屋だった店を居抜きで買い取ったわけでしょ。カウンターとか座席とか完全に居酒屋なわけですよ。BARと呼ぶにはあまりにも明るすぎるんです。それで当時の私の部下が、あ、そいつは今はうちの店の店員をやってくれているんですけど、そいつが「じゃあ、居酒屋BARにしましょう」って言い出したんです。

もぐ なるほど。でも、いくらBARでもおつまみぐらいは必要ですよね。料理ができなかった頃はどうしていたんですか。

キリヤマ 最初は缶詰をそのまま出していたんです。もちろん缶を開けてお皿に盛ってですよ(笑)。そのくらいは当時からできましたらか。実は前職で私が辞めたあと、私の役職についた男の実家が珍しい缶詰を作る会社をやっていましてねぇ。そこから缶詰を卸してもらったんですよ。これが大好評になりまして、いまでもうちの売りの一つになっています。

もぐ 珍しい缶詰って、具体的にはどんなものなんですか?

キリヤマ ま、詳しくは言えないんですが、もちろん、お店にきていただいたお客様にはお教えいたしますよ。そのときは共犯ですから。。。とにかく、普通では手に入らないイキモノの肉やら内臓やら脳みそやら目玉やら、ま、そんな感じなんです。一口食べただけで、ビッビッとくる凄いものばっかりですよ。

もぐ それは気になりますねぇ。今度是非、うかがわせてください。ところで、居酒屋BAR『キリヤマ』のお客さんはどんな方が多いんですか?

キリヤマ なんていうか、独自の雰囲気を持った方が多いですね。先ほど説明したたいへん珍しい缶詰を食べたり、私が世界中、宇宙中(笑)から仕入れた特殊な酒を呑んでいるので、精神が犯された方もいるかもしれませんねぇ(笑)。70歳を過ぎた現在にいたるまで一度も仕事をしたことがない、今で言うニートですか、そのニートの大先輩のような方を筆頭に、住宅ローンを払うのがイヤになって、家族を捨てて失踪し名前を変えた方とか、中には、妖怪を探す仕事をしているなんてことを言い出す方までいますからねぇ。はっはっは(笑)。

もぐ なんか楽しそうですね。

キリヤマ 所詮、男なんて孤独ですから、子供を生ませること、仕事をすること以外、なにも価値なんてありませんからねぇ。だもんで、独身で、しかも仕事をしていない男なんて、社会的にちっとも認めてもらえないんです。たとえ家庭を持っていたとしても、女房に子供を生ませたら、あとは定期的に金を運んでくるだけの存在ですよ。

もぐ 悲しい男のサガというやつですね。

キリヤマ それでも生きているからには夢の一つや二つは見るじゃないですか。でも、特になんの才能もない大多数の男たちは夢を叶えることなんて、まあ、できるわけありませんよね。

もぐ だからこそ、男たちには酒を呑んで酔っ払う必要があるんですよね。

キリヤマ そうなんですよ。酔っ払っているあいだは妄想の中でどんな夢だって叶えることができるんです。うちの店のお客さんはまさにその典型。みんな一人で酒を呑みに来て、一人で酔っ払ってブツブツとなにか独り言をいってますよ、実にみなさん楽しそうな表情をしながら。

もぐ まさに理想の『男の居場所』じゃないですか。それに、お店で出されている缶詰やお酒も、そういう妄想を膨らませる特別な効果があるようですし、実に素晴らしいお店ですね。

キリヤマ うちで出す酒には、かなり強烈な成分が入っていますから、あ、詳しくは言えませんけどね。それと例の缶詰でしょう、この組み合わせは最高ですよ。馬鹿なマスコミや、調子こいた女どもが言うような価値観なんて、全部、権力者たちの情報操作だってわかりますよ。本当のリアルというのは、酔っ払った男たちの妄想の中にあるんです。いや、妄想することそのものがリアルなんですよ。

もぐ なんだか哲学的ですね。

キリヤマ 哲学、良い言葉ですねぇ。そう、今の男たちこそ哲学が必要なんです。女たちの言動に一喜一憂したり、世の中のデキゴトにいちいち反応したりするんじゃなくて、自分の脳内で楽しみを作り出すには哲学が必要なんですよ。うちの店は、個人個人の中に哲学を育てるための空間を提供しているんです。それが私の仕事なんです。

もぐ 素晴らしいですね。ところでその妄想を引き出す缶詰とお酒なんですけど、その缶詰には宇宙人の肉や内臓が使われているなんて噂もあるようですね。キリヤマさんが以前お勤めになっていたお役所が収集した宇宙人の死骸が使われているとか。それと、お店で出されているお酒というのも、宇宙人が作った酒だなんていう噂とかもあるようですが。

キリヤマ ・・・・・・・。

もぐ ま、そんな噂なんかに反応するんじゃなくて、自分自身の脳内で自分だけの幸福を妄想することが一番ですね。キリヤマさんの先ほどのお言葉で、それがよく解りました。

キリヤマ いやあ、そう言っていただけると嬉しいです。

もぐ 今日はどうもありがとうございました。


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