『ナムジ』と『神武』の世界

ボクにとっては、安彦良和先生の『ナムジ』と 『神武』が『日本古代史』のほぼ全ての知識の源。 その『ナムジ』という作品では、オオクニヌシが実に魅力的に描かれているのだ。

そんなオオクニヌシが、血と汗と涙と情熱をかけて作った『出雲の国』 。ずっと「一度は見たい」と思っていたのだが、先日、ついに行くことができたのです!

堤防を築き、港を作り、灌漑を行ったオオクニヌシ。出雲の神話には『神が陸地を引き寄せて国を大きくした』話があるが、これは『土木工事により領地を増やした』ことを物語っているのだろう。

神話では、オオクニヌシが『天孫神』に『国譲り』した見返りに作らせた『出雲大社』。しかしが実際は、外部勢力が出雲を侵略するにあたり、オオクニヌシを神に祀り上げ出雲人を取り込むために作ったものなのかもしれない。

出雲大社の『神紋』である『二重亀甲剣花菱』。 中央の丸は鏡を、四枚の花びらは勾玉を表し、四本の剣とともに(天皇家のシンボルである)『三種の神器』を表している。 しかし出雲大社は『国津神系』で、 『天津神系』である『天皇家』とは関係がないはず。 なので『オオクニヌシの紋』というよりは、『天津神系の勢力が、 国津神系最大の王であったオオクニヌシの魂を、三種の神器の力で押さえ込むことを 目的に作られた紋』 なのかもしれない。

二つ目の鳥居から一つ目の鳥居を眺めた図。 このスケール感こそ出雲大社の魅力なのだ! 日本においては 『征服民の文化を根絶やしにする』のではなく、 『征服民の文化を上手に取り込んで、文化ごと支配する』という考え方なので、 『オオクニヌシを倒し出雲を支配した卑弥呼勢力が、これほど大きな規模でオオクニヌシを祀った』ということは 『それほど出雲におけるオオクニヌシの影響力が強かった』ということの表れか。

発掘された刀。この半端無い数が、いかに出雲が鉄の国だったかということがわかる。 『ナムジ』では、スサノオがこの地を納める前には、後に『ヤマタノオロチ』という化物として歴史に残されることになった豪族が、山肌を水の力によって削る手法で鉄鉱石を採掘していたという説明があった。 山頂にためた水を一気に放出すると、まるで『頭がたくさんある蛇が山肌をのた打ち回っている』ように見えたことから、『頭が八つある蛇の伝説』が生まれたのはないかということだ。

『鉄の時代』の前の『青銅の時代』から、出雲には大きな文化があった。 古代日本の中心はおそらくこの辺りだったのだ。

そして出雲は『馬の国』でもあった。 鉄と馬こそ文明国家の礎だったのだ。アメリカ原住民との類似性も興味深い。

こんなジオラマも展示されていた。 まさに『ナムジ』『神武』の世界観なのだ。

この辺りもオオクニヌシが、かつて治水工事を行った場所なのだろうか。