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【8.会ったこともない友人の法則】


ボクが幼少のころは街の中に犬の糞がよく落ちていました。犬の糞といえば「バクチク」を連想する方も多いでしょうが、ボクの地元ではバクチクよりもクラッカー(「2B弾」とも呼ばれていた)が主流でしたねぇ。バクチクだと本体が短く、深く差し込むことができませんが、長いクラッカーであれば犬の糞に深く差し込むことができるからです。

え、何の話かわからないですか? 当然、犬の糞を爆発させる話しですよ、やだなぁ。

爆発物を深く差し込んだ方が、より広範囲に犬の糞が飛び散るということを、当時のボクたちは感覚的に理解していたのです。時代はまだベトナム戦争真っ最中、ボクたちは犬の糞にクラッカーを仕込んだものを「時限爆弾」、それを爆発させることを「ゲリラ活動」と呼んでいました。

ところで、ボクにはN君という友人がいました。彼は学区域のはずれに住んでいたため、彼の地元の友人にはボクとは別の小学校に通っている児童も多かったのですが、そのなかに「モトイ君」という少年がいました。ボクはそのモトイ君に一度も会ったことがないのですが、モトイ君は当時のボクの英雄だったのです。

モトイ君は「ゲリラ活動」の大天才だったのです。彼が仕掛けた「時限爆弾」はその殺傷範囲(要は犬の糞が飛び散る距離)がとても広かったのですが、たぶん爆発物を仕掛ける深さや角度がとても洗練されていたのでしょう。これらは犬の糞の形状や古さ(古くなると表面から硬くなっていく)によって調整する必要があるため、職人的技術が要求されるのですよ。

また、モトイ君は単なる職人ではなく冒険家でもありました。彼は「自分が仕掛けた時限爆弾の殺傷範囲を見極め、ギリギリまで近づいた場所で爆発を見守る」という無謀な冒険に挑んでいたのです。このゲームは「ギリギリ・セーフ」という名称だったと記憶しています。

彼は何度もこの偉業を達成し、英雄の名を欲しいままにしていました。ま、あくまでもボクの想像の中での英雄であり、彼が地元で英雄扱いされていたかどうかは知りません。全てN君が語ったことがベースになっているのですが、この辺りになると、どこまでが聞いた話でどこまでがボクの脳内で作られたものなのか、今となっては区別ができません。

ある日、モトイ君はとてつもない作戦を実行しました。なんとクラッカーを3本、犬の糞に仕込んだ時限爆弾を使ってのギリギリ・セーフを行ったのです!

何故3本かといえば、ギリギリ・セーフの名称から野球が連想され、野球→長嶋→背番号3、という発想です。これは当時の小学生にとってはごく普通のことなのです。

果敢にもこの大冒険に挑んだモトイ君でしたが、結果は犬の糞を全身に浴びてしまうことになりました。そしてその後、彼には「うんこっち」というあだ名が付けられてしまったのです。

あれから40年近く経った今でも、ボクはモトイ君とは一度も会ったことがありません。そして、仕事でモトイという名前の方に出会うたびに「もしかして小学生時代 うんこっち というあだ名でしたか?」と聞きたい衝動に駆られてしまうのです。ま、自粛していますけどね。

会ったこともない友人の法則:
人間は、脳内でつくったデキゴトに本気で心を動かされることが多々ある。




ちくわぶの法則

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見苦しいハゲの法則
「けさらんぱさらん」は「理系おやじ」のための「不思議発見」サイトです。ビワの木に生息する謎の生き物「ケサランパサラン」についての研究論文(笑)も掲載されています。