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【22.アポロの時計の法則】


ブランドものの腕時計にはまったく興味が無い。時計は動きさえすれば良いのだと思っている。ゲイノウジンが「何百万円の時計をしている」といったことを言っているのをたまに聞くが「ばっかじゃねぇの」としか思わない。ヤキモチとかそういうんじゃなくて、単に「高いから」「有名だから」という理由でブランドものをありがたがる人間の精神構造が安っぽく思えてならないのだ。

そんなボクなのだが、唯一気になる腕時計がある。アポロ11号が月に行ったときに宇宙飛行士たちが腕にしていたオメガの「スピードマスター」だ。

当時小学校1年生だったボクは、アポロ関連の衛星放送をテレビにかじりつくように見ていたものだ。そして、当時の新聞に「アポロ計画で宇宙飛行士が身につけていた時計」というようなコピーが書かれた、まるまる1面を使った広告が掲載されたのを今も鮮明に記憶している。

多感な少年時代にアポロの偉業を目の当たりにしたボクにとって「オメガ・スピードマスター」は「人類の英知」と「輝ける未来」の象徴そのものなのだ。

「アポロの時計」は今も販売されていて、裏面には「FIRST WATCH WORN ON THE MOON」と刻まれているのだそうだ。欲しいとは思うが、ワタシの稼ぎではどうしようもない。「道端に倒れていた老人を助けたらその人が偶然オメガの役員で、お礼に時計をくれた」ということでも起きない限り、ボクがスピードマスターを手に入れる事はないだろう。ま、諦めるしかない。

手に入れることができないオメガ・スピードマスターだが、改めてどれくらい凄い腕時計かを述べてみる。

オメガのサイトでは「無重力と磁場、極度な衝撃と振動、そして-18〜+93℃に及ぶ温度という条件下でのアメリカ航空宇宙局の過酷なテストをすべてクリアした唯一の腕時計」「唯一、月面に着陸した腕時計」なる説明が書かれている。

最もドラマチックなのは「アポロ13号」でのこの腕時計の「活躍」だろう。重大な電気系統の事故により月着陸はおろか地球への帰還すら絶望的とされたこの事件、唯一の生還の方法は手動でエンジンを始動させ、あるタイミングから正確に14秒間噴射させることだった。

その時間を計測したのがこのオメガ・スピードマスターなのだ。

そのときの功績でオメガはNASAの宇宙飛行士たちによって授与される栄誉ある「スヌーピー・アワード」を受賞したのだとか。スヌーピー・アワードという名称はどうもアメリカ的でちょっとずっこけるのだが、ま、それはそれとして「宇宙飛行士から授与された」というのが素晴らしい。

さらに米ソ冷戦時代の終結を予測させる宇宙イベントである「アポロ−ソユーズ宇宙ドッキング」においては、アメリカ側の宇宙飛行士だけでなくソビエト側の宇宙飛行士の腕にもこのスピードマスターが巻かれていたという。テクノロジーは国境や思想を越える、理系おやじのボクとしてはなんとも嬉しい話じゃないか。

オメガ・スピードマスターとはそういう時計なのだ。

うーん、やっぱり欲しいなぁ。よし、やっぱり毎週末、「オメガの役員が倒れていそうな場所」をまじめに俳諧でもしてみるか。

アポロの時計の法則:
ブランド名よりも、値段よりも、理系おやじにとっては価値のあるものがある。




偏執狂の法則

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ヤマモト君の法則
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