カテゴリーバナー



【28.立ち食い蕎麦の法則】


いまも存在するのか解らないが、以前外回りの営業マンをしていた頃、JR品川駅のコンコースにある立ち食い蕎麦屋によく通っていた。その店は蕎麦もつゆも美味しくて、同業者には結構有名だった。いつ行っても、アタッシュケースを持ったスーツ姿のおじさん達で賑わっていたのを覚えている。

ボクは基本的に「かき揚げ蕎麦」(通常の店では「天ぷら蕎麦」と呼ばれている)が好きなのだが、その店では通常のかき揚げを使った「天ぷら蕎麦」とは別に、かき揚げの中に「ゲソ」が入った10円高い「上天ぷら蕎麦」というのがあって、ボクはいつも「上天ぷら蕎麦」を頼んでいた。

たった10円の差ではあるが、ゲソが入ると美味さが格段にアップする。しかもちょっとした「お大尽気分」も味わうこともできる。そういう意味で実にサラリーマン心を理解した品書きだったと思う。

天ぷら蕎麦に用いるかき揚げというのは、普通に天ぷら屋で食べるかき揚げとはまた違った評価基準があると思う。基本的に天ぷらは揚げたてが良いのだろうが、一般的な立ち食い蕎麦屋の場合、作り置きしてカウンターのガラスケースに入れてある場合がほとんどだろう。

そういう冷えたかき揚げは、どっぷりとつゆの中に沈めて十分につゆを染みこませてから食らいつくと最高に美味い。とくにゲソ入りの場合このことが際立つ。

所変わって初台駅を出た場所にある立ち食い蕎麦屋は、なんとオーダーがあってからかき揚げを揚げはじめてくれる。これは多少時間がかかるが、揚げたてのかき揚げを楽しめる。そばの上にかき揚げを乗せてつゆを掛けると「ジュッ」と油が弾ける音がするのがまた良い。

こちらの場合は、あまりつゆをかき揚げに染みこませてはダメだ。せっかくの揚げたて感が損なわれてしまうのでチョコっとつゆにつけてかじりつく。サクッとした食感がたまらない。かき揚げの種類によって食べ方を変えるボクって、なんて大人の嗜みをわかった男なんだろうとひとりドヤ顔してみたりする。

「しょせん立ち食い蕎麦屋だろう」なんてしたり顔する「蕎麦喰い」(これを「そばっくい」と発音するだよとドヤ顔)もいるだろうが、新しい立ち食い蕎麦屋を探して入るということは、外回りを主戦場とする営業マンにとって、RPGにおいて未知のダンジョンに入るに等しい興奮と喜びを感じることなのだ。立ち食い蕎麦屋をナメちゃいけないよ。

ところで、若い女性が独りで立ち食い蕎麦屋でそばを手繰っている風景をたまに見かける。ここで「蕎麦は食べるではなく《たぐる》というんだよ」とまたドヤ顔。実に良いなぁ「独り立ち蕎麦ガール」ってのは。「こういう女性の良さを解るのもボクが大人の男だからだよ」とまたしてもドヤ顔。

どうやらオジサンには蕎麦について語るとき、ついドヤ顔をしてしまう習性があるようだ。

立ち食い蕎麦の法則:
立ち食い蕎麦を一人で食べている若い女性は素敵だと思う。



カテゴリーメニューに戻る

「けさらんぱさらん」は「理系おやじ」のための「不思議発見」サイトです。ビワの木に生息する謎の生き物「ケサランパサラン」についての研究論文(笑)も掲載されています。