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【38.マタンゴの法則】


1963年公開の東宝映画『マタンゴ』とは

監督 本多猪四郎、特技監督 円谷英二という『ゴジラ・巨匠コンビ』による『マタンゴ』と いう映画があります。 ボクが赤ん坊の頃の公開ですが、リバイバル上映やテレビ上映も結構されていますし、 DVDも出ているので、ボクより若い世代の人たちにも(こういう映画のファンならば♪)、 かなり有名な映画ですね。

ストーリーは、金持ちのボンボンたちと女性二人がヨットに乗って調子こいてクルージングしているときに 嵐に遭遇し無人島にたどり着いてしまうという流れで進んでいきます。

その島には食べるものがほとんどなく、 唯一キノコ(『マタンゴ』と命名された)だけはたくさんあるのですが、 そのキノコを食べると精神が犯され、最終的には姿かたちもバケモノ(キノコ人間?)になってしまうのです。

少ない食料や女性を巡っての男達の争いや、 『マタンゴ』を食べれば空腹は癒されるけど、バケモノになってしまうという葛藤が描かれていて、 人間ドラマ風味も漂うホラー作品となっています。 そしてなにより、水野久美が『傲慢』で『妖しく』て、 とにかく最高に良いんです!

快楽に身を任せるか?  それとも誇りを持って生きていくのか?

今、仮に、空腹と絶望感で気が変になりそうな状況に、 貴方が陥っているとします。 まわりには美味しそうなキノコ(『マタンゴ』)がたくさんあります。 そして、『マタンゴ』を食べた人たちは食欲を満たされ、まるで何の悩みも無いかのごとく 実に幸福そうに笑っているのです。

そして 日本映画史上もっともエロいセリフであろう「おいしいわぁ」という水野久美のセリフ。 食欲も性欲も押さえつけられていた貴方の目の前で、 こんなセリフを呟きながら美味しそうに『マタンゴ』を食べる妖艶な水野久美。

しかし『マタンゴ』を食べれば、確実に自分が精神を犯され、じきに姿かたちも バケモノになってしまうことを、貴方は知っているのです。 さあ、貴方ならどうしますか?

それは堕落だったのか? それとも適合だったのか?

いかにも『欲望と道徳との葛藤』のような感じでマタンゴを解説してきましたが、理系おやじ的には 別の解釈もできそうです。

つまり 『環境が変化すれば、そこで生息している生物も、 自らの精神構造や肉体構造を変化させていくほうが、 より生存の可能性が高まる』 ということを、マタンゴから読み取ることもできるのです。

『マタンゴ』を食べた人間に対して、『狂ってしまった』とか『バケモノになってしまった』と考えるのは、 『マタンゴ』を食べていない、つまりは、変化を遂げていない人の『偏見』なのかもしれません。

脱出不可能なこの島で生存するためには、この『精神構造と肉体構造の変化』は必須であり、 むしろこれは『環境への適合』である、と考えられると思うのです。

『マタンゴ』や『水野久美』はなんの象徴だったのか?

『精神と肉体の変化』は、ここ100年ぐらいの間でも、 ボクたち日本人に普通に起きている事実です。 でも、それを『堕落』と捉える人は(昔はいたかもしれませんが)今はほとんどいません。 『適合』どころか、普通はそれを『進歩』と呼んでいます。

『その変化』を『堕落』と捉えるのか『適合』『進歩』と捉えるのかは、『考え方』の問題であり、 その『考え方』を決めるのは、『その変化』を遂げた人の『数』の問題のような気がするのです。

たくさんの人が『その変化』を遂げていれば、それは『適合』『進歩』と捉えるだろうし、 わずかの人しか『その変化』を遂げていなければ、それを『堕落』と評されるのでしょう。

『その変化』を引き起こす原因を『マタンゴ』と呼ぶとしたら、ボクたちの精神や肉体を ここ100年で変化させた『マタンゴ』はなんだったのでしょうか? そしてその『マタンゴ』を妖しく薦めた『水野久美』はなんだったのでしょうか?

マタンゴの法則:
変化を促進させるモノ・コトに対して、人は恐怖とともに妖艶さを感じてしまう。




カエルの法則

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「けさらんぱさらん」は「理系おやじ」のための「不思議発見」サイトです。ビワの木に生息する謎の生き物「ケサランパサラン」についての研究論文(笑)も掲載されています。