スサノオを祀った氷川神社は全国いたるところにありますが、今回行ってきた「大宮にある氷川神社」は、そのなかでもかなり有名度の高い神社です。 なんでも「神社にも格式がある」そうで、この氷川神社は「最高ランク」である「一宮(イチノミヤ)」という格式なのだとか。
ま、そういう「顔を見たこともない役人が決めたこと」にはあまり興味はありませんが、実際に行ってみると、特に後述する「蛇の池」など、「神聖な力を感じずにはいられない佇まいを備えた神社」であることには間違いありませんねぇ。
この辺りは江戸時代の大規模な治水工事が行われるぐらいまで、沼や河川が入り組んだ場所でしたので、現在の神社が建つ場所は、当時は「水辺に張り出すような高台」だったのでしょう。
そう考えると、「日の光に照らされた沼や河川を見下ろすこの地」は、とても神聖な場所だったのだと思います。
この辺りからは「旧石器時代から縄文、そして弥生時代にまでまたがる複合的な遺跡」が発掘されているらしいので、古代から「この場所の神聖さ」に惹かれて、人々が集まってきたのでしょう。
かつての沼(見沼)の名残らしい「神池」。名前が凄い!
本殿や神楽など、見るべきものが多いこの神社ですが、なによりボクが惹かれたのが、この「蛇の池」です。
前の写真の「神池」にも流れ込んでいる水が「湧き出ている池」で、本殿の左奥にひっそりと存在しているのも魅力の一つ。「同業者(w)」の方なら、絶対に「なにかある!」と感じずにはいられないでしょう。
参拝者はほとんどいなかったので、この神社を知っていても「蛇の池」を知らない方も多いのでは? だとしたらもったいないですよ。武蔵一宮氷川神社に参拝しにきたら、絶対に訪れるべきです!
スナノオが退治したヤマタノオロチ(蛇の化け物)が水の化身であるとしたら、スナノオ神話は「治水によって国を治めた」というモチーフか? 別説には「スナノオのヤマタノオロチ退治は、製鉄をモチーフにした神話」というのもあり、このあたり妄想するのが実に楽しいです♪
湧き出る水には、絶対になにか神聖なパワーが宿っているはず。というのがボクの理論。
この水が「神池」へと流れていきます。
本堂の右奥に「門客人神社」があります。「門客人」とは言ってみれば「お客様の神様」ですので、普通に考えると「スサノオを祀るこの神社ができた後に、追加で祀られるようになった神様を祀る神社」と考えれますが、通常、順番が逆な場合が多いようです。
つまり「もともと祀られていた土着の神様」がいて、その後「大和朝廷の台頭により、日本書紀などに出てくる神様が取って代わって祀られるようになり、もともと祀られていた神さまが“門客人”として祀られるようになった」というパターンが主流のようなのですよね。
ここ「武蔵一宮氷川神社」の「門客人神社」に祀ら得れている「足摩乳命(アシナヅチノミコト)」と「手摩乳命(テナヅチノミコト)」とは、スサノオに「娘=奇稲田姫(クシイナダヒメ)をヤマタノオロチから救ってほしい」と頼んだ夫婦ですが、実はこの神社、江戸時代までは「荒脛巾神社(アラハバキ神社)」と呼ばれていたという情報を知りました。(飛鳥新社「縄文神社」武藤郁子著)
「アラハバキ」とは日本書紀にも古事記にも出てこないのですが、縄文時代から祀られていた日本固有の神様です。「健脚の神様」として祀られていることが多いので、トレッキングや散歩が大好きなボクとしては、最も気になる神様なのですよ。
それがなぜ今日のように「アシナヅチ」と「テナヅチ」とを祀る神社になったのか、その理由は判りませんが(解る方、是非教えてください!)、ボクは当然のことながらこの神社に「健脚祈願」をしてきたというわけです。
神社のどこかにでも「荒脛巾」の文字か、「ワラジ」などの関連オブジェが無いかと探してみたのですが、どうも無いようですねぇ。
これ、もともと別々の木だったんですよね。
学術的には単なる「レキ岩」、つまり「小さな石が堆積して固まった岩」なですけど、日本文学的には「小さな石が集まり成長して強固な巌となったもので、とてつもなく長い年月をかけて成長していくものの象徴」となっているわけです。当然「君が代」の「さざれ石の巌となりて苔のむすまで」のあの「さざれ石」です。
「戦艦武蔵」が大宮と関係があったとは! 簡単に言うと「戦艦武蔵の竣工式に氷川神社から6名出向した」「武蔵艦内の武蔵神社は氷川神社から分祀された」ということです。詳しく知りたい方は是非、ググってみてください♪
神楽の上に飾られていた絵です。このあたりも是非、絵画修復して欲しいなぁ。
参道入り口近辺の灯篭の邪鬼。邪鬼こそ我らプロレタリアートの象徴のような気がするんですよ。邪鬼あってこそ成り立つのが世の中なんです。
ボクは「トサカや角がある“云型狛犬”が大好きなんで♪
今回の氷川神社の近く(とは言っても歩いていくにはかなり厳しいです)に「中川神社(氷川簸王子社)」と「氷川女體神社」という神社があります。(ニョタイ神社って凄い名前だ)
女體神社は氷川神社の「妻」的な意味合いを持つ神社らしく、当然主催神は「クシイナダヒメ」です。中川神社は二つの神社の子供にあたる神社で、主催神は「オオナムチ」です。
安彦良和著の「ナムジ」を読んだことがある人にとっては常識(w)ですが、「オオナムチ」とは「オオクニヌシノミコト」のことで、スナノオの娘である「スセリ姫」と結婚しましたので、スナノオにとっては「義理の息子」になるわけですねぇ。
この二つの神社もいずれ調べてみたいと思います。もちろん「アラハバキ」との関係性を知りたいんですよ。
こちらが「中川神社」。こちらについてはまた別途報告します。
こちらが「氷川女體神社」です。
一説には「氷川(ヒカワ)」の「ヒ」は「光り輝く形のないもの」に付ける接頭語で「カワ」は、「川」というよりは「水」を指す言葉だったとらしいですから、「ヒカワ」とは「光り輝く水」ということなのでしょうか?
もしかしたら「全国の氷川神社」は「日に照らされて輝く河川や沼を見下ろす高台に建てられた」のかも? ま、このあたりは専門家の本でも読んでみたいと思います。