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●二宮神社にアラハバキ神を拝みに行ってきました


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1.アラハバキ神とは

アラハバキとは、東北から関東のエリアで、縄文時代にまでさかのぼり信仰されていた神さまの呼び名ではないかと言われていますが、残存する我が国最古の書物である「古事記」や「日本書紀」には一切出てきません。

しかし、古くから残る神社には「客神(きゃくしん)」として主祭神とは別にアラハバキが祀られている場合も、結構多いのですよ。

「客神」の文字面からみれば「後から祀られるようになった神様」と思えるかもしれませんが、実際には「大和朝廷がアマテラス信仰を広める前から、我が国で信仰されていた土着の神様が、そのまま残されている」という考え方の方が主流のようです。

つまり

〇最初にアラハバキを祀っていた神社があった
〇その後、大和朝廷がアラハバキ信仰を追いやり、新しい神様を祀り始めた
〇しかし、地元民の思いがアラハバキ信仰を「客神」という形で残した

という感じなのでしょう。

アラハバキに関して興味のある方は是非ググっていただくとして、縄文時代や古代日本文化に軽くはまっているボクとしては、散歩がてらに「アラハバキを客神として祀る神社巡り」をしてみようと思いたったわけです。

今回は東京の「あきる野市」にある「二宮神社」に行ってきましたが、“武藤郁子さんの書かれた「縄文神社」”を参考にさせていただいております。この本、実に面白い本なので、こちらも是非ググってみてください!

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2.縄文時代から神聖だった場所

二宮神社の麓の池

古代日本における聖地には、だいたい同じような特徴があります。 簡単に言うと「見晴らしが良い高台」「水が湧き出る場所」ということになるのですが、今のボクたちだって、そのような場所には心がトキメクのが普通ですから、当たり前といっては当たり前です。

古代日本人もそのような場所に畏敬の念を抱き、それがそのまま「信仰」という形に昇華されていったのだろうと、ま、普通に考えられますよね。

今回尋ねた「二宮神社」にも上の二つが揃っています。本社は小高い丘の上にあり、麓には今も奇麗な水が湧き出る池が残っています。住宅街の中にありながら、二宮神社の一角だけは、神聖な空気が漂っていることが感じられると思いますよ。

鳥居をくぐり階段を昇ったところで振り返る。かつては絶景が眺められたのでしょう。

二宮神社の境内。実に厳かな雰囲気!

ご祭神は国常立尊(くにとこたちのみこと)。日本神話において最初に登場する「五柱の神」の次に現れた「神代七代」の中の最初の神様で、良く知られている「天照大神(あまてらすおおみかみ)」「素戔嗚(すさのお)」などよりも、遥かに古い神様なんです。

ちなみに、天照大神や素戔嗚は、「神代七代」の最後の一組(イザナギとイザナミ)の一方である「イザナギ」が、「黄泉の国」から逃れてきた後、川の水で身体を清めたときに、左目から滴る水から天照大神が、鼻から滴る水から素戔嗚が生まれたと言われています。

この笹竹を米と一緒に炊いて、竹の中に入った米粒の数で吉凶を占う祭りがあるらしいですねぇ。

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3.雨ごいが行われた湧き水

東京というと「高層ビルの谷間にゴミや汚物が漂い、目つきの悪い男たちが獲物を求めてウロツキ、厚化粧の娼婦たちが客引きをしている街」だと思っている方がほとんどだと思います♪

しかしここ二宮神社の麓の池には、前述したように今も奇麗な水が湧き出て、鮮やかな鯉が泳いでいるのですよ。皆さんの東京のイメージを今すぐ払拭していただきたいですwww。

この池は古代より信仰の対象で「雨ごい」も行われた場所だったようですが、今でも地元の方々の心のよりどころになっているようですねぇ。この日もお子さんを連れたお母さんが池の周りで楽しそうに遊んでいました。

左翼的な環境保護思想には、ちょっとゲンナリさせられる場合も多いですが、古代の人たちが抱いていた「自然に対する信仰心」というのは人間の本能をストレートに刺激してくれますよね。普通に「奇麗な水を守りたい」という気持ちにさせてくれますもん。

メルヘン風味が程よく効いた石碑を発見♪

池のほとりの祠。祀られている神名について、ご存じの方教えていただければと。

水の透明度と鯉のカラフル度とがよく解りますよね。

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4.アラハバキ神に健脚を祈願

二宮神社においては「荒波々伎」と書かれていましたが、一般的には「荒脛巾」と各場合が多いようです。 「脛巾」とは「旅のときなど足を守るために脛に巻く布」のことらしく、「星一徹が付けていたゲートル」のようなものなんでしょうね。

日本書紀にも出てきた「大和を追われて北に逃れたナガスネヒコ」にも「スネ」という文字が使われていますし、どうやら「大和朝廷と敵対する民族」には「脛」が関係あるのでしょうか?

大和朝廷から逃れて長い旅路をした末に関東・東北地方に移り住んだ彼らにとって「健脚であること」はとても大切なことだったのだと思いますが、それが関係あるのかもしれません。

そんな理由からかどうかは不明ですが、「アラハバキは健脚の神様」としての位置づけもあるようで、二宮神社の「門客神神社」である「荒波々伎神社」では、ワラジが祭られていました。

これは散歩やトレッキングを第二の人生の中心においているボクにとっても実に興味深いことで、アラハバキを探査するモチベーションになっているというわけです!

健脚こそが良い人生の秘訣です。最近お祈りすることっていったら健脚祈願ばかりです。

「大地確踏」という表現はググっても出てこないようですが、雰囲気は伝わってきます。