毘沙門天に退治された大狸/多聞寺 タモンジ(鐘ヶ淵)

茅葺の山門は墨田区内最古の現存建造物で墨田区の指定文化財です。

隅田川と荒川にはさまれた鐘ケ淵にある多聞寺には 『狸寺』という別名があるのですが、 その背景には「毘沙門天の使いに退治された大狸の伝説」 があるようなのです。

なんとなくですが「毘沙門天と狸との関係性」らしきものも見えてきた、 実に楽しい散策でした。

■妖怪の写真

もともとこのお寺は「不動明王」を本尊とする大鏡山明王院隅田寺だったらしいのですが、天正年間のときに本尊を毘沙門天に変え名称も多門寺へとなりました。

その際に参拝者の便をはかろうと、近辺の雑木林の伐採や整地が行われたのですが、その結果、住処を奪われてしまった『大狸』が、腹いせに大入道に化けて大地を震わせたり、土砂を降らせたりして暴れだしたというのです。

そこで、毘沙門天の使者である善尼子天道(ぜんにしてんどう)が登場し、その大狸を退治しのだとか。

翌日、雌雄の大狸の死骸を発見した住職が憐れに思って作った塚が、 下の写真の『狸塚』なのだそうです。

毘沙門天も狸も「製鉄の象徴」らしい


毘沙門天(四天王の中では多聞天と呼ばれています)は 軍神としての位置づけもあり、 戦いの象徴である剣=鉄を操る神でもあり、 そこから鉱山の発見や発掘に関わる神でもあるらしいです。

また、鉄を精錬する際のフイゴには、 狸の皮が使われていたらしく、 鉱山が多かった佐渡島では狸や狢の養殖が盛んだった というトリビアもあるようですねぇ。

文福茶釜(ぶんぶくちゃがま)などはまさに狸と鉄とが結びついた話ですし、 鍛冶屋が鉄を叩いて精錬する音を『狸ばやし』と言われることもあるようです。 つまり、狸も毘沙門天も同じ鉄器に関連する信仰対象らしいんですよね。

じゃあ、同じ「鉄器信仰」の象徴である狸と毘沙門天とが 何故、戦ったのか?  何故、狸が毘沙門天に殺されるという伝説が残ったのか?   皆さんはどう思いますか? (こういうことを妄想するって楽しいですよね♪)

アクセス方法

東武伊勢崎線「鐘ヶ淵駅」から徒歩15分程度です。