お岩さんを祀る4つの社寺/
 於岩稲荷田宮神社(四谷)・陽運寺於岩稲荷・於岩稲荷田宮神社(新川)・妙行寺

日本最高峰の怪談であろう四谷怪談のお岩さん。 事実を基にしているとも言われ、 今なお「事前にお参りに行かず四谷怪談を演じたために祟られた」など の逸話が絶えないですね。

興味深いことに、深い恨みを抱いて死んだお岩さんなのにも関わらず、 現在では「願い事を叶える神さま」として参拝されているのです。

何故、お岩さんが「神さま」になったのか?  そんなことを考えながら参拝しようと考えていたら、なんとザっと調べただけでも4社も「お岩さんを祀っている」ではありませんか!

於岩稲荷田宮神社@四谷左門町

四谷にある「お岩さんを祀る神社」のツートップの一角「於岩稲荷田宮神社」です。「田宮」とは(お岩さん伝説における)お岩さんの実家の家名であるので、なんとなく「本家度合い」は高いですよね。

陽運寺於岩稲荷@四谷左門町

こちらは「陽運寺於岩稲荷」です。 境内も「お岩さんのテーマパーク」的に装飾されていて、 参拝者の多さという点では頂点に位置するかもしれませんねぇ。

於岩稲荷田宮神社(手前)と陽運寺於岩稲荷とはこんなに近い場所にあり、それぞれ「本家」を主張し合っています。このことの方が「四谷怪談」より恐ろしいです・・・。


なぜこのような「本家争いが起きたのか」については、 結構説明がメンドクさいので省きますが、興味のある方だけ調べてみてはいかがでしょう♪

於岩稲荷田宮神社@新川

四谷の神社と全く同名の神社です。1879年(明治12年)の火災で四谷の神社が この場所に移転し、元の四谷でも後に再建されたために、同一名の神社が二つ存在するとのことです。

妙行寺@西巣鴨

実在したであろう「お岩さん」のお墓があるのがこの「妙行寺」です。なんでももともとは四谷にあったお寺が明治42年に西巣鴨に移転してきたとのことです。

怨念を浄化させ「神格化」させるシステム

実は、 日本には『深い恨みを抱いて死んだ人』を『神として祀る』ことで、その怨念を浄化させるという考え方が存在します。

その場合、その人の生前の『恨み』が強ければ強いほど(世間がその恨みを大きいものだと感じていればいるほど)、その人を「より格式の高い神へと昇華させる」傾向があるようですねぇ。

例えば、『天孫系の神(大和朝廷につながる勢力)』に『国譲り(ようは天孫系に国を征服された)』した大国主命は、日本最大の神社である出雲大社に祀られているし、『新皇』を名乗り朝敵として討伐された平将門は『関東の守護』として神田明神に祀られているじゃないですか。

彼ら以外にも「謀反の疑いをかけられ左遷先で恨みを抱きながら死んだ菅原道真」も『学問の神様』として祀られていたりするわけです。こういった例は数えればキリが無いですね。

ボクは理系おやじなので『怨念』そのものが存在するとは思っていませんが、「怨念というものが存在すると信じている人々はたくさんいて、そのような人々にとっては、怨念が残ったままでは安心できないのだ」ということは理解しています。

そういう人々は「なんとかしてその怨念を浄化させたい」と考え、「怨念を浄化させるシステム」=「怨念が浄化されたと信じるための手法」として、「怨念にまみれて死んだ人を神にしてしまう」という文化を作り出したのではないでしょうかねぇ。

「死後、その人を神とすることで、生前その人が抱いていた恨みを浄化させる」ことは、ある意味、日本人の持つ『事なかれ主義的な辻褄あわせ』のように思えますが、そのような考え方は日本の共同体社会を持続させる上で重要な考え方のひとつになっているのも、これまた事実なのでしょうねぇ。

四谷怪談関連マップ